今朝の新聞各紙やテレビのニュース等でも大きく報じられていますが、昨日の最高裁判所の判決において、預貯金と遺産分割協議に関する判例が変更されました。

なんのことだか良く分らない方のために、簡単に説明をしますと、これまでの判例の考え方では、預貯金は相続開始時に法定相続分に従って当然に各相続人に相続されてしまうので、遺産分割の対象外である、とされていました。

この考え方は、古くは『相続財産中の可分債権は法律上当然に分割され、各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継する』という昭和29年の最高裁判例や『相続財産中に可分債権があるときは、その債権は相続開始と同時に当然に法定相続分に応じて分割されて各共同相続人の分割単独債権となり共有関係に立つものではない』とする平成16年の最高裁判例の流れからきているものと考えられます。

つまり、預金といえども銀行に対する可分債権(分けることができる債権)なのだから、法律上当然に分割された形で法定相続分どおりに各相続人に帰属する、というロジックですね。

ところが、この考え方にはいろいろな問題点が指摘されていました。

たとえば、相続人の一部の方が、被相続人から生前に多額の贈与を受けていた場合。

このようなケースでは、すでに生前贈与を受けていた相続人ともらっていない相続人の利害の調整のため、預貯金を分割の対象として、両者の公平を図るということが望ましいと考えられます。

しかし、前述のこれまでの最高裁の判例の考え方ですと、預金は当然に法定相続分で分割帰属してしまうため、各相続人間の公平のための調整役として、預金を分配することはできないことになってしまいます。つまり、『もらった物は私のもの、残っている預貯金は、相続分どおりに頂きます』ということが認められてしまうのです。

そこで、今回の判例はこの考え方を改め、預貯金も遺産分割の対象になりますよ、ということにして、相続人間の公平に配慮したというわけですね。

ただ、実際の相続実務では、これまでも相続人全員の合意で遺産分割協議をする際に預貯金を遺産分割の対象とするということは普通に行われていましたし、むしろ、金融機関などは、遺産分割協議書がないと、預貯金の払い戻しには応じないというのが原則的な扱いといってよい状況でしたから、最高裁の判例が実務に寄り添うような形で変更したといってよいでしょう。

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