本日、坂戸市のY様からご依頼の抵当権(本登記及び仮登記)抹消登記の手続が無事完了しました。

今回、通常の抵当権抹消登記と大きく異なる点は、抵当権者である金融機関が消滅してしまっているという点です。

通常、抵当権抹消登記は、抵当権設定登記がされている不動産の所有者を登記権利者、抵当権を設定している抵当権者を登記義務者として申請をすることになります。住宅ローンの返済は一般的には長期間に及ぶことが多いので、ローンが完済し、抵当権抹消登記を行う頃には所有者なり抵当権者に何がしかの変更が生じていることは珍しくありません。たとえば、所有者の方の住所氏名の変更や相続、抵当権者の商号変更や合併などは、比較的良く目にする案件といって良いと思います。

ところで、法人が合併により消滅した場合、人間(自然人)でいうところでいう相続と同じように、消滅した法人の権利義務は原則として全て承継して存続する法人が引き継ぐことになりますから、抵当権抹消登記までの間に抵当権者に合併があり、もとの抵当権者が消滅してしまっていても、合併により存続する法人がある限り、その存続している法人を登記義務者として抵当権抹消登記を行うことになります。

しかし、今回、抵当権者である法人は合併等をしたわけでなく、解散をして、清算活動を行った上で当該清算が結了したものとして完全に消滅してしまっていました。

さて、こういったケースで抵当権を抹消したい場合、一体どうすべきなのでしょうか。

抵当権者が清算結了した後の抵当権抹消登記をする方法

上記のように、清算結了による登記がなされますと、法人は完全に消滅したものとして法人登記は閉鎖されてしまいます。また、清算人の任務もこれにより完結したもの考えられます。

そのため、まず考えられるのは、登記上、清算結了の登記が誤っていたものして当該清算結了登記を抹消して法人を存続しているものとして抵当権抹消登記を行う、という方法です。

ところが、この方法は非常に複雑な手続が必要となり、現実的にはかなり難しい方法といえます。(何せ、いくら利害関係があるとは言っても、直接の法人の関係者ではない方(不動産の所有者)からの要請でもって、清算が結了したとして消滅したはずの会社を復活させるということになる訳ですから、そんなに簡単にできるはずがないのは容易に想像できますよね。。。)

そこで、登記の手続上は、抵当権の被担保債権及び抵当権が清算結了より前に消滅している限り、上記のように清算結了の登記を抹消することをせず、当時の清算人(清算結了時の代表清算人)からの協力を得ることにより、抵当権抹消登記をすることが認められているのです。

【参考先例等】

法人の清算結了前に債権及び抵当権は消滅しているが、抵当権抹消登記が未了である場合、旧清算人から抵当権抹消登記を申請することができる(登記研究23号)。

 

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