農地について所有権移転をする場合、原則として農地法所定の許可を得なければならないとされています。

農地法第3条第1項本文
農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可(これらの権利を取得する者(政令で定める者を除く。)がその住所のある市町村の区域の外にある農地又は採草放牧地について権利を取得する場合その他政令で定める場合には、都道府県知事の許可)を受けなければならない

ちなみに、一般的に『農地』とは、耕作の目的に供される土地をいい、実際に農地であるか否かは、土地の状態に基づいて客観的に判断するものとされています。この理屈からすれば、登記上の地目にかかわらず、現況が農地以外であれば、許可は不要であるとの解釈もできそうですね。だだ、実際の登記実務では、登記上の地目が田や畑などの農地である場合、農地法所定の許可書(又は届出書)の添付がなければ登記は通りません。

少し話が逸れましたが、農地について包括遺贈をする場合、相続登記の場合と同様に、この農地法の許可は不要とされています。

一方、特定遺贈については、従前の登記実務の取り扱いでは、農地法の許可を添付しなければならないとされていました。

包括遺贈とは「財産の半分を遺贈する」といったように、財産の全部または割合を示して行う遺贈のことをいい、特定遺贈とは「東松山市○○の土地を遺贈する」などと遺贈する目的物を特定の財産に限定して行う遺贈のことをいいます。(なお、包括遺贈と特定遺贈の詳細についてはこちらの投稿をご覧ください)

包括遺贈では、受遺者は相続人同様の権利義務を有するとされているが故に、農地法の許可は不要である、というのが、我々司法書士の世界では常識でした(少なくとも、20年程前に司法書士の試験勉強をしていた私達の世代では常識でした)。

ところが、昨今の農地の特定遺贈を巡る判例や登記先例の変更により、相続人に対する特定遺贈についても農地法の許可が不要となりました(平成24年12月14日民二3486号民事局長通達)。

とはいえ、この扱いについては現状、「相続人に対する特定遺贈」に限定されていますので、どんな特定遺贈でも農地法の許可が不要になったわけではない点には注意が必要です。

また、相続人に対して特定の不動産を遺したい、ということであれば、「相続人に対する特定遺贈」をするのではなく、初めから「特定の不動産を特定の相続人に相続させる遺言」をした方が、後々の登記手続等のことも考えると、簡単で確実です。

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