本日は、亡くなった方がその所有する不動産をある相続人に「相続させる」旨の自筆証書遺言を作られていた場合、相続の開始後において、その内容に従い相続登記(土地建物の名義変更)を行う際には、具体的にどのような書類が必要となるのか、ご紹介いたします。
1.検認済みの自筆証書遺言
自筆証書遺言は、遺言者の死亡後において、家庭裁判所に検認をしてもらう必要があります。
遺言書の検認についての詳細については、過去の投稿をご参照ください。
自筆証書遺言の場合、この検認の手続を経て、家庭裁判所の検認済みの証明が付された遺言書でない限り、登記の手続には使用できません。
2.遺言者の死亡の記載のある除籍謄本
遺言は、遺言者の死亡によってその効力を生ずるため、遺言者が死亡したことを証するために、死亡の記載のある除籍謄本(抄本)を添付します。
なお、実際に死亡の旨が戸籍に記載されるには、市区町村役場に死亡届が提出された後、1週間程度時間を要することがありますのでご注意ください。
3.遺言者の住民票除票
通常、不動産の登記記録に記載されているのは、所有者の住所氏名です。亡くなった方の除籍謄本には、その方の住所は記載されていませんから、除籍謄本だけでは氏名は確認することができても、住所までは確認できません。そのため、亡くなった方の最後の住所地の記載された住民票除票を添付することで、故人の住所氏名の確認が可能となります。
なお、登記記録上の住所と最後の住所が相違する場合には、戸籍の附票などの書類を添付することもあります。
4.相続人の戸籍謄本
遺言により財産を取得する方の実在性と、相続人であることを証明するため、戸籍謄本(抄本)を添付します。なお、遺言が効力を生じた時点(=遺言者の死亡時)において、相続人が生存していないと、当該遺言によってその相続人が相続することはないため、相続人の戸籍謄本は遺言者が死亡した日より後に作成されたものである必要があります。
5.相続人の住民票
上記のとおり、不動産の登記記録には、所有者の住所氏名が登記されますから、住所を証明するために住民票を添付します。
6.不動産の評価証明書
相続登記の際に納める登録免許税の計算根拠となる不動産の固定資産評価額が記載された評価証明書を添付します。
なお、地域によってはこの評価額の情報が法務局に知らされており、そのような地域では評価証明書を添付する必要はありません。
登録免許税は、固定資産評価額×4/1000となります(つまり、1000万円あたり4万円)。
7.委任状
相続登記を代理人に委任する場合に添付します。
以上は、自筆証書遺言がある場合の相続登記における典型的な添付書類となります。
事例によっては上記以外の添付書類が必要となる場合もありますので、予めご了承ください。
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