自筆証書遺言では、その全文、日付、氏名を自筆で記載することが要件となります。

したがって、パソコンやワープロで作成したり、他人が代筆した場合、無効な遺言ということになります。

では、完全に他人の代筆ではないものの、他人の力を借りて、遺言書を記載した場合は、どうでしょうか?

たとえば、脳梗塞を患い手足に震えが残るAさん、自分で遺言の内容を理解した上で筆を取ることはできますが、書き始めや改行の際など、手の震えがあって自力で記載することがむずかしい状況です。そこでAさんは妻Bさんに添え手をしてもらうことで遺言書を記載しました。

一方、持病が悪化し、寝たきりになってしまったCさんは、健康だった頃、自分の遺産をすべて内縁の妻Dさんに遺贈すると言っていましたが、これまで遺言書は書いていませんでした。そのため、Dさんは、もしこのままCさんが亡くなってしまうと自分は何も相続できないのではないかと心配です。そこで、Dさんは寝たきりのCさんの手を取ってCさんの名前で自筆証書遺言を作成しました。

上記の例はいずれもいわゆる「添え手」により作成された遺言書ということになりますが、実際には、大きな違いがあります。

どちらも有効とするのか、どちらも無効にするのか、判断に迷いますよね?

そこで、いわゆる「添え手」によって書かれた自筆証書遺言の有効性について、判例では、次のように示されています。

病気などの理由により、他人の添え手による補助を受けてされた自筆証書遺言は、

  • 遺言者が証書作成時に自書能力を有している
  • 他人の添え手が単に始筆もしくは改行、字の間配りや行間を整えるため遺言者の手を用紙の正しい位置に導くため,又は遺言者の手の動きが遺言者の望みにまかされており、遺言者は添え手をした他人から単に筆記を容易にするための支えを借りただけである
  • 添え手が右のような態様のものにとどまること、すなわち添え手をした他人の意思が介入した形跡のないことが筆跡のうえで判定できる

場合には、自筆証書遺言の「自書」の要件を充たすものとして有効であるとされています。

上記の例ではAさんの遺言書は有効、Cさんの遺言書は無効、ということになりそうです。

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