民法第968条

  • 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
  • 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

上記のとおり、自筆証書遺言には『日付』を『自書』しなければならないと規定されています。

日付の記載方法

自筆証書遺言に日付が必要とされているのは、遺言が作成された時点での遺言者の遺言能力の有無や、内容の抵触する複数の遺言がある場合の遺言の前後関係の確定のためです。

ですから、自筆証書遺言に日付の記載がない場合、遺言の様式に不備があるものとしてその遺言は無効となります。

日付の記載のない自筆証書遺言を添付して相続登記を申請しても、その登記は受理されません(昭和26年8月31日1754号民事局通達)。

また、日付は『自書』することが必要ですからスタンプ印などを用いた日付があっても、やはりその遺言は無効となってしまいます。

ところで、日付の記載方法としては、「平成28年12月7日」とか、「2016年12月7日」といった具合に記載することが一般的といえますが、たとえばある方が自分の誕生日に遺言書を書いた際、「私の70回目の誕生日」と記載した場合、日付の記載があるといえるのでしょうか。

実は、このような記載でも、日付の記載があるものと扱われるというのが判例の考え方です。

それは、自筆証書遺言に日付の記載が必要なのは、前述のとおりその時点の遺言能力や複数の遺言の前後関係の確定のためですから、「70回目の誕生日」は、日付を特定するためには必要かつ十分な記載といえるからです。

とはいえ、無用な争いを防ぐという意味では、できるだけ元号や西暦を用いた日付を記載すべきでしょう。

日付の記載場所

遺言書の日付は、一般的には遺言書の本文の後で署名の前、あたりに記載するが普通の書き方です。

例)

遺 言 書
私は、下記のとおり遺言する。
第1条
・・・・ 以下省略
平成28年12月7日
住 所 東松山市箭弓町二丁目2番12号
遺言者 田中○郎 

といった具合です。

もっとも、日付の記載場所については、法律上の規定はありません。

ですから、いきなり日付を記載しても、それはそれで問題ありません。

また、判例では、遺言書をいれた封筒に日付が記載されていれば、その封筒も遺言書の一部とみなし、有効な日付の記載があるものとしているケースがあります。

ただし、これもあくまでも判例上の取り扱いですから、積極的に封筒に日付を記載すべきではなく、上記の例のように本文の後に記載していただくのが良いでしょう。

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