遺言は、法定された事項についてのみ、することができることとされています(遺言事項)。
遺言事項は、具体的には下記のとおりです。
- 認知
- 未成年後見人の指定
- 未成年後見監督人の指定
- 推定相続人の廃除、廃除の取消し
- 祭祀承継者の指定
- 相続分の指定または指定の委託
- 特別受益の持ち戻しの免除
- 遺産分割方法の指定または指定の委託
- 遺産分割の禁止
- 共同相続人間の担保責任に関する意思表示
- 遺贈
- 遺言執行者の指定または指定の委託
- 遺贈に関する減殺方法の指定
- 信託の設定
上記遺言事項のうち、祭祀承継者の指定とは、先祖を祭るために必要な財産である系譜、祭具、墳墓などの祭祀財産を承継する者を遺言で指定することができるということです。
民法では、被相続人の一身に専属するもの(一身専属権)を除くすべての財産は相続の対象となるものとされていますが、祭祀財産は、一身専属権と同様に相続の対象財産とはならないものとされているのです。
一方、葬儀の方法や埋葬方法などの指定については、上記のとおり遺言事項とはなっていないため、付言事項(ふげんじこう)となります。
付言事項は、遺言書に記載することができるいってみれば「お願い」に過ぎず、遺言書に記載しても法的拘束力を生ずることはありません。
そのため、ご自分の信仰する宗教や宗派による葬儀の方法などを希望する場合、それを実現してもうらためは単に付言事項として記載するだけでなく、祭祀承継者についても指定をしておくことが重要といえるでしょう。
遺 言 書
私は、次のとおり遺言する。
1、私は、下記の不動産を含む一切の財産を妻の田中○子に相続させる。
所在 東松山市箭弓町
地番 ○番○
地目 宅地
地積 ○○㎡
2、私は、田中家の祖先の祭祀を主宰すべき者を長男田中○男と指定する。
※祭祀承継者とは、墓地、仏壇、祭具等先祖を祀るために必要な動産、不動産を承継する者のことです。
3、この遺言の遺言執行者として、下記の者を指定する。
埼玉県東松山市箭弓町
司法書士 田中聖之
4、遺言者の葬儀は、私が進行する○○宗の儀礼、方式に従い執り行う。
※付言事項として、葬儀の方法について指定します。
5、私の遺骨は、○○宗が埼玉県東松山市において設営する○○寺に納骨するすること。
(以下、省略)
私は、上記のとおり遺言したので、全文を自書で書き下ろし、署名押印する。
●年△月□日 ※日付は必ず必要です。
埼玉県東松山市○町○丁目○番
遺言者 田 中 ○ 郎 印 ※印鑑はなるべく実印を使用します。
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