内縁関係のAさん夫婦の場合
AさんとBさんはいわゆる内縁関係で、婚姻届を出していない事実婚の状態です。
二人の間に子供はいません。
AさんとBさんは、二人の共同名義で購入したマンションに同居しており、生活費はAさんとBさんがそれぞれ当分に負担していました。
そんな中、Aさんが病に倒れ、1ヶ月後に亡くなってしまいました。
Bさんは、Aさんの遺産について権利を主張することは難しいことは承知していたものの、所有していたマンションだけでも自分の名義にできないものか、また、もしそれが難しいのであれば、せめてそのマンションを売却したいと考えています。
Aさんには遺言書はありませんでした。
問題点と解決方法
AさんとBさんのようないわゆる内縁関係の夫婦には、法律上の相続権は認められていません。
一部、内縁の夫婦には、婚姻費用の分担や同居・協力扶助義務といった婚姻関係に準じた保護が認めれれる部分もありますが、法律上の相続権までは認められません。
また、AさんとBさんのように、共同名義で不動産を購入している場合、不動産全部を売却するためには、Aさんの持ち分についてはAさんの法定相続人が相続し、その相続人とBさんが協力して売却手続を進めなければならないということになります。
もちろん、Bさんが自分の持分だけを売却するということは、法律上は可能なのですが、Bさんの持分だけを売りに出しても、その持分だけを買おう、という方はいないといってもよいでしょう。
したがって、Bさんは、Aさんの協力がえら得ない限り、マンションを自分のものにすることも、処分することもできないという状態になってしまうのです。
そこで、このようなケースでは、AさんとBさんが互いに自分に万一のことがあるときは、相手方に財産を「遺贈」する旨の遺言書を作成しておけば、残された内縁の配偶者に財産を渡すことが可能になります。
「遺贈」は、法定相続人以外の第三者に財産を遺す場合に用いられる贈与に準ずる方法です。
遺贈には、特定の財産についてする「特定遺贈」と、特定しないでする「包括遺贈」の二種類があり、「包括遺贈」をした場合の受遺者は、法定相続人と同様に遺産分割協議に参加することも可能となります。
ポイント
- 内縁関係の夫婦は互いに相手のために財産を遺贈する遺言書を書きましょう。
- 亡くなった方名義の不動産の処分には、相続人の同意が必要です。
- 遺言により、相続人以外の方に財産を遺すことができます。
- 遺言書は、元気なうちにしか、書けません。
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