子がいないAさん夫婦の場合

Aさんの財産は、ご自宅の土地建物と預金、投資目的の株式が少々。

Aさんが亡くなった後、妻であるBさんが銀行に出向き、生活費等のために預金を引き出そうと銀行に行きましたが、銀行には預金の引き出しを拒否されてしまいました。

Aさんご夫婦には、子供がいません。

両親は20年以上前に亡くなっており、兄弟はAさんを含め5人兄弟でしたが、両親がなくなって以後、あまり付き合いもなく、疎遠です。

Aさんには遺言書はありませんでした。

問題点と解決方法

Aさんのようなお子さんのいないご夫婦の場合、よくある勘違いとして、配偶者の一方が亡くなった場合には、全財産が自動的に残された配偶者に相続されるというものがあります。

Aさんは、自分が先に亡くなったときは、自宅の土地建物や預金はすべて妻Bさんに自動的に相続されるものと考えられていました。

しかし、実際にこのようなケースでは、Aさんの財産は妻Bさんだけではなく、4人の兄弟にも相続する権利が発生するのです。

兄弟姉妹の法定相続分は、4分の1、Aさんのケースでは、兄弟は4人ですから、兄弟ひとり当たりの法定相続分は、16分の1ということになりますが、これでも立派な法定相続人であることに変わりはありません。

そのため、Bさんが金融機関に預金の解約に行った際には、銀行から他の兄弟の同意を取り付けてこなければ、預金は引き出せないと門前払いをされてしまったのです。

このように、子供がいないご夫婦の場合で、兄弟姉妹が法定相続人となり得る状況にあるときは、遺言書を作成しておけば、確実に残された配偶者に全財産を相続させることができます。

兄弟姉妹には、法律上、遺留分が認めれらていませんから、全財産を配偶者に相続させる旨の遺言書を作成しておけば、後日、兄弟姉妹の協力や同意を得ることなく、配偶者に全財産を相続させることができるのです。

ポイント

  • 子供がいないご夫婦は遺言書を書きましょう。
  • 兄弟姉妹も相続人になり得ます。
  • 兄弟姉妹には、遺留分はありません。
  • 遺言書は、元気なうちにしか、書けません。

 

 

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