相続登記をしないリスク
相続登記は、自己責任であり、法律上の期限などはありません。
そのこともあり、相続登記を行わないまま長期間経過してしまっている土地や建物が、日本全国には多数存在し、課税上の問題や空き家の問題など、社会問題化していることは前述のとおりです。
しかし、土地建物の名義変更(相続登記)を行わないことによる不利益は、社会的なものだけに限らず、当のご本人に対して大きなリスクが伴うことは、あまり知られていないかもしれません。
相続登記をしないことによるリスクについて、触れてみましょう。
相続人が予想外に増えてしまう
相続が発生したのに、面倒だからといつまでも相続登記をしないでいるうちに、相続に人のうちの一部の方が亡くなってしまったりすると、その亡くなった方の相続人も含めて相続の手続を行わなくてはならなくなります。
相続する権利がある方全員の顔が見えているうちはまだ良いのですが、長期間経過すると、中には名前も知らない程縁遠い親類にまで権利が及んでしまうことがあります。
たとえ100分の1でも法定相続分がある限り、その相続人も含めて全員の同意がなければ遺産分割協議などはできません。
事実、当事務所でご相談に乗らせていただいた案件では、長期間相続登記を行わなかったがために、法定相続人が40人以上にも上ってしまったケースもございます。
相続人の事情や関係性が変わってしまう
現在、相続人のお話の中で、とくに財産の相続について揉めているわけでもなく、そういった雰囲気すら感じられないような良好なご関係を築かれているという方でも、将来にわたり、その良好な関係性が続く保証などありません。
よくあるケースでは「実家の土地は長男継ぐ」といった家族間の暗黙の了解のようなものがあり、安心していたところ、時間が経ったら他の兄弟が「自分にも権利がある」と主張したり、相続とは関係のない理由で喧嘩をしてしまい、ハンコをもらえなくなってしまった、といった事例がございます。
心理的な原因ばかりではなく、相続人の経済的な事情が変わり、代償金の支払いを求められるようなこともあるかも知れません。
遺産分割ができなくなる
相続登記をしない期間が長期間に及べば及ぶほど、遺産分割ができなくなる可能性は高まります。
たとえば、相続人の一部が高齢になり認知症を発症してしまう。
あるいは、行方不明になってしまった。
こういった場合、もはや通常の形では、遺産分割協議を行うことはできません。
家庭裁判所に後見人や財産管理人を選任をしてもらい、なんとか遺産分割まで漕ぎつけたとしても、当初の思いどおりには、遺産分割できない可能性が高まります。
費用が増大化する
現行法では、相続登記の際の登記所に支払う印紙代(登録免許税)は、土地建物の評価額1000万円あたり、4万円です。ところが、この税金、実は10年ほど前に比べて2倍になっているのです。
今後、税負担は上がることはあっても、下がることは殆ど期待できないでしょう。
登記を司法書士に依頼する場合の司法書士費用も然りです。長期間が経過し手続が複雑化すれば、その分費用は余計に掛かるようになってしまいます。
それ以外にも、長期間経過する間に相続する権利がある人が増えれば、いわゆるハンコ代も増えるかもしれません。
また、揉めごとになれば、遺産分割の調停や審判手続などになり、弁護士費用や相手方に対して現金で代償金を支払わなければならなくなる、といったケースも出てくるかもしれません。
結論
相続登記を先延ばしにしても、百害あって一利なし、良いことは一つもありません。
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