故人(遺言者)が作成した遺言書は、遺言者の死亡によりその効力が生じます。当然のことではありますが、遺言者本人はその内容を実現することができません。そこで、遺言者の意思である遺言の内容を実現するために、遺言を執行する人が必要となるわけです。
そして、この「遺言を執行する人」が「遺言執行者」です。
遺言執行者となるためには特別な資格が必要なわけではありません。自然人に限らず、株式会社などの法人も遺言執行者になることができます。遺言執行者は複数でも構いません。この場合、その任務の執行は複数の遺言執行者の過半数で決することになります。
なお、法律の規定により、未成年及び破産者は、遺言執行者となることができません。
第1012条 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
第1009条 未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。
第1017条 遺言執行者が数人ある場合には、その任務の執行は、過半数で決する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
2 各遺言執行者は、前項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。
出典:e-Gov民法
遺言執行者を選任する方法
遺言執行者を選任する方法には、下記の3つの方法があります。
なお、遺言執行者に指定された場合でも、実際に遺言執行者に就任するかどうかは、指定を受けた方が判断すれば良く、強制的に就職しなければならないわけではありません。
ただし、相続人その他の利害関係人によって就職を承諾するかどうかを格闘すべき旨の催告を受け、その期間内に相続人に対して確答(返事)をしないときは、就職を承諾したものとみなされます(民法1008条)。
第1007条 遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。
2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。
第1008条 相続人その他の利害関係人は、遺言執行者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就職を承諾するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、遺言執行者が、その期間内に相続人に対して確答をしないときは、就職を承諾したものとみなす。
出典:e-Gov民法
遺言執行者の選任方法
1.遺言書で直接遺言執行者を指定する
遺言書に次のように記載して遺言執行者をしていします。
参考文例
「本遺言の執行者として、○○太郎(住所〇〇、昭和〇年〇年〇月〇日生)を指定する。」
遺言執行者に指定する方の氏名、住所、生年月日などは住民票どおりに正確に記載してください。
2.遺言書で「遺言執行者を決める人」を指定しておく
この方法は、遺言書作成時に誰を遺言執行者にするか判断できない場合や、万一遺言執行者に指定した方が遺言執行者に就任できなかった場合などに有効な方法です。
参考文例
「××二郎(住所〇〇、昭和〇年〇年〇月〇日生)に本遺言の執行者を選任する権限を与える。」
このように、遺言では遺言執行者を直接に定めず、権限を与えられた人が相続開始後に遺言執行者として適任と思しき方を遺言執行者に選任します。
3.家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てる
遺言書に遺言執行者の指定がない場合や、指定された人が遺言執行者への就任を断ったり、亡くなってしまっていたりした場合の方法です。
家庭裁判所への遺言執行者の選任の申し立ては、遺言者の死亡時の住所地を管轄する家庭裁判所に対し、相続人や債権者、受遺者(遺贈を受けた方)などの利害関係人が行います。
参考 家庭裁判所に遺言執行者の選任を申立てる際に必要な書類
- 家事審判申立書
- 遺言者の死亡の事実がわかる戸籍謄本や、除籍謄本、改製原戸籍、全部事項証明書など(遺書の検認から5年間は不要)
- 遺言執行者候補者の住民票、または戸籍の附票
- 遺言書の写し、または遺言書の検認調書謄本の写し(遺言書の検認後5年間は不要)
- 戸籍謄本など利害関係があることを証明する書類
第1006条 遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
2 遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければならない。
3 遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なくその旨を相続人に通知しなければならない。
第1007条 遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。
2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。
出典:e-Gov民法
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