相続登記の意義
土地建物の登記をするのは、その不動産についての権利を登記所の登記記録に登記することによって公示することで、第三者に権利の内容等を知らせて取引の安全を図るとともに、その権利を第三者に対して主張することができるようにするためといわれています。
たとえば、相続が開始し、相続人間の遺産分割協議で貴方がある土地を相続することになったとします。
その場合、相続人間では、遺産分割の協議が適正になされている限り、ご自分がその土地を相続したことを主張することはできます。
では、相続人以外の第三者に対してはどうでしょう。
第三者にとっては、相続人間の遺産分割協議の内容は当然には知る由もないわけですから、登記をしない限り、貴方は第三者に向けてその土地がご自分の土地だと主張することができない、ということになります。
しかし、現実には、貴方の土地を巡って第三者が権利を主張してくることや、自分の土地であることを証明しなければならない場面など、そうは訪れません。
そのためかどうかは分かりませんが、
現行法では、相続登記はいつまでにやらなければならないという法律上の期限はありません。
なぜなら、上述のとおり相続登記は相続した土地や建物がご自分の物であると他人に主張するためにする手続だからです。要するに、ご自分の権利を守るための手続であるのだから、やるもやらぬも本人次第、というところです。
もっとも、昨今では、相続登記が済んでいないことで所有者を確定することができず、課税上の問題が生じたり、所有者の分からない空き家が増加の一途をたどるなど、様々な社会問題が取り沙汰されていることから、近い将来、相続登記の義務化、などといった状況も訪れるかもしれません。
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