贈与のトラブルを防ぐために必要なこと
確実に財産を譲渡したり、節税のメリットを享受したくて生前贈与をしたのにもかかわらず、後になって当事者間でトラブルになってしまったり、税務署から高額な贈与税の支払いを求められるようなことになっては本末転倒です。
そこで、贈与のトラブルを防ぐために、最低限押さえておくべきポイントをご紹介します。
贈与契約書を作成する
すでにご紹介したとおり、生前贈与は当事者間の意思の合致が有効に成立するのが原則です(農地の贈与など例外もあります)。
つまり、契約書など作らなくとも、贈与自体は有効に効力を生ずることになります。
しかし、一方で、民法は、書面を作っていない贈与については当事者の一方からの申し入れだけで撤回ができると規定していますから、後から贈与が取消されてしまったりしないよう、また、「もらった」「あげてない」ないなどといった基本的なトラブル防止の観点からも、契約書を作成すべきです。
加えて、親族間での贈与などの場合には、後に贈与した方が亡くなった際、他のご親族から『勝手に贈与してもらったことにした』などと言い掛かりをつけられたりすることのないようにするためにも、自筆の贈与契約書を取り交わしておくべきでしょう。
金銭の贈与は銀行口座に
金銭を贈与する場合など、面倒だからと現金を渡してしまうと、後日、税務署から贈与税についての税務調査等を受けることになった場合、『本当に贈与をしたのか』『金額は本当にこの額なのか』といった点であらぬ疑いをかけられてしまう可能性もあります。
このようなことのないように、金銭を贈与する場合には、かならずお互いの銀行口座から直接入出金を行うようにし、通帳にその内容が残るようにしておきましょう。
名義変更などは速やかに行う
たとえば、土地や建物などの贈与を行った場合、理論上は意思表示や契約書を作成した日が贈与をした日ということになりますが、名義変更の手続などをしないと、履行が完了したことにはならないため、贈与が認められないおそれがあります。
また、仮に贈与そのものの有効性に疑いがないとしても、後日、あげる側やもらう側が亡くなってしまったり、手続に協力できない状態になってしまうと、名義変更の手続が難しくなってしまうリスクもあります。
特に、高額な取引となる不動産の贈与などについては、速やかに名義変更登記などを行うようにしましょう。
贈与税の申告は期限内に行う
贈与税の申告が必要になる場合、必ず期限内に行うようにしてください。
贈与税にには、相続時精算課税や住宅取得資金贈与の特例などもありますが、期限内にキチンと申告をしないと、この手の特例の適用を受けることができなくなってしまいます。
また、贈与の証拠を残す、という意味では、年間110万円の基礎控除があっても、あえてそれよりも少し多い贈与を行い、その分の贈与税の申告を行い、少額の贈与税を納めるといった方法も有効でしょう。
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