本日(2/13)は、離婚による財産分与のお客様が午前と午後に二組ご来所になられました。
午前は先月から継続でご相談の方、午後は新規でご相談にいらした方です。
そして、午後ご相談にお越しになられたお客様からは、財産分与の登記をするタイミングについてご質問を頂きました。
不動産が離婚による財産分与の対象財産となされた場合には、「年月日財産分与」と登記原因として当該不動産について分与者から分与を受ける側に所有権移転登記を行うことになりますが、この年月日の日付はいつになるのでしょうか。
結論から申しまして、この日付は「財産分与が成立した日」となるのが原則です。
これは、離婚がすでに成立し、離婚届が提出された日以後に財産分与の合意が成立した、というケースです。
一方、協議離婚の届出がなされる前に財産分与の協議が成立しており、後になって離婚届が提出されたというケースでは、「離婚届が提出された日」ということになります。
これは、離婚による財産分与は、文字どおり離婚によって発生する効果なのですから、離婚届の前にすでに協議が成立していたのであれば、離婚届が提出され離婚が効力を生じた時(民法764,739)に(離婚を条件に)その効果が生ずるものと考えられるからです。
つまり、いずれのケースでも離婚届が提出された後に財産分与による所有権移転登記を申請する、という流れになるわけです。
ところで、こちらのお客様は、色々とご自身で離婚による財産分与に関してお調べになられておられまして、当事務所にご相談に来られる前に、確認の意味で法務局にも登記の手続についてご相談に行かれたそうです。
その際、なんと某法務局の相談担当者の方からは、「離婚による財産分与の登記は離婚届を出す前に申請してください」と言われたらしいのです。
確かに、登記の手続上は、離婚した日を証明する書類の提出は求められませんから、離婚日前の日付を登記原因とする財産分与の登記も、申請すればそのまま審査を通ってしまいます。
しかし、この答えを聞いたお客様は、どうにもこの答えに納得ができなかったため、本日のご来所の際、このようなご質問を頂いたということでした。
繰り返しますが、離婚による財産分与は、あくまでも離婚後、財産分与の合意(協議)が成立して効果を生ずるのが基本ですから、離婚もしていないうちに財産分与の登記をするよう勧めるというのは、まったくおかしな話です。
また、仮にこの話を鵜呑みにして、離婚成立前の日付で財産分与のによる所有権移転登記をしてしまったとすると、居住用不動産の譲渡の特別控除も使えなくなってしまいます(居住用財産の譲渡による所得については、譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができることになっていますが、この控除は夫婦間の譲渡には適用されません。したがって、離婚届が提出される前の日で所有権を移転してしまうと、「夫婦間」の譲渡として、この控除が適用されないことになってしまうのです。)。
色々なことをしっかりご確認されているお客様だけに、聞き違いや勘違いとは考えられません。
某登記所がどこの登記所かは、ここには書くことができませんが、こういった大事な点は決して間違えることのないよう、しっかりとご相談に乗って頂きたいものですね。
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