自筆証書遺言のルール
自筆証書遺言には、法律で決められたルールがあります。
このルールをすべて守らないと、遺言書は無効になってしまいます。
ここでは、自筆証書遺言作成上の最低限のルールについて、ご紹介します。
なお、当事務所では、こういったご心配のない、公正証書遺言の作成をお勧めしています。
詳しくは、公正証書遺言のススメをご覧ください。
全文を遺言者が自筆で書くこと
遺言書の用紙やサイズは自由ですが、すべて遺言者本人が自筆で記載しなければなりません。
代筆やワープロで作成した場合、遺言書は無効となってしまいます。
筆記具については、鉛筆など消せる物は避け、ボールペンや万年筆を用いましょう。
作成した日付を記載すること
たとえば、平成28年10月吉日、のような記載をした場合、遺言書は無効となってしまいます。
必ず正確な日付を記載してください。
なお、複数の遺言書が存在する場合、後の日付の遺言書が有効となります(ただし、重複したり、矛盾する部分について)。
本人が署名押印すること
遺言者本人の署名と押印がない遺言書は無効です。
なお、印鑑については実印でも認印でも構いませんが、後日、争いになったりしないよう、できるだけ実印を使用すべきでしょう。
訂正や削除も方式に従って行うこと
訂正や削除もルールを守って適切に行わないと、訂正などが認められなかったり、内容的に矛盾が生ずるようば場合、遺言書が無効となるおそれもあります。
加筆方法
加筆する箇所に〝{ 〟を書き足し加筆内容を付け加え、さらに訂正箇所に押印する。
また、遺言書の欄外に「○○行目に○○字加筆」と記して署名押印する。
訂正方法
訂正箇所を二重線などで消して、訂正箇所に押印する。
また、遺言書の欄外に「○○行目『○○○(3文字)』を『○○(2文字)』に訂正」と記して署名押印する。
なお、間違えた個所を黒く塗りつぶしたりしてはいけません。
削除方法
削除する箇所を二重線などで消して押印する。
また、遺言書の欄外に「○○行目『○○○(3文字)』を削除」と記して署名押印する。
なお、削除する箇所を黒く塗りつぶしたりしてはいけません。
遺言書の用紙が数枚になるときは、契印(割り印)する
遺言書が複数(2枚以上)にわたる場合、後日の争いを避けるため、ホチキスなどで順番に綴じ、用紙と用紙の間に署名押印の際に使用する印鑑で契印(割り印)を押しておきましょう。
契印は、1枚目と2枚目の継ぎ目に印を押すことで、2枚の書類が一続きの書類である証拠になるものです。
もし、複数の枚数にまたがる遺言書にこの契印がないと、用紙の前後関係や、そもそも2つの用紙が一続きの遺言書なのかどうか、とった点に疑義が生じてしまうからです。
遺言書は必ず1人につき1通作成する
夫婦が同時に遺言する場合であっても、同じ遺言書で二人が遺言することはできません。
遺言書は必ず1人につき1通づつ別々に作成しなければなりません。
これは、後日、遺言者の一方が自由に遺言を破棄したり訂正したりすることが難しくなってしまわないようにするためです。
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